老子化胡経

桑原隲蔵老子化胡経』


老子化胡経、つまり道教側が、「老子が釈迦を教化した」と主張している本の来歴についての論文。道教仏教の論争は、すでに後漢末期にあり、老子が釈迦を教化したという説もそのころにあった。

老子化胡経は、晋の恵帝の時代、道士の王浮が著したもの。老子の生年がかなり前に設定されており、老子はもと周に仕えたが、散関を出てどこかに行ったということになっているので、そこから印度に行って、釈迦を教えたということになっている。あとは、老子の説がインドっぽいということ。ヨーロッパの学者が、老子はインドから来たと言っている。

仏教はこれではたまらないので、釈迦の生年をより繰り上げたり、同様の本(釈迦が老子を教化した)を作って対抗したりしていた。しかし教義上の論争がどうだったのか、この論文だけではわからない。だいたい中国仏教には老荘思想が入っているわけで。