仏教史家に一言す

津田左右吉『仏教史家に一言す』


これは小文。しかし津田左右吉の立場はよく現れている。

基本的には、仏教史家が仏教のよい影響だけを強調しているが、それは間違っているということ。津田左右吉がいうのは、歴史というのは公平なものでなければならないということ。利不利、立場によって、書き方を変えるのはなし。

日本の歴史が儒教国学によって占められていた時には、仏教の影響は不当に低いものとされていたが、いま(19世紀末)はそうではない。しかし、仏教史家がかえって、仏教のよい点だけを言い過ぎているとする。そのように考える根拠はこの文章に出ていないことが残念。