支那史上の偉人
桑原隲蔵『支那史上の偉人(孔子と孔明)』
講演録で、6回シリーズで支那史上の偉人を取り上げる予定で、孔子、始皇帝、張騫、孔明を扱うはずだったのが、始皇帝と張騫は他の文章で取り上げたのでやめた、孔子と孔明だけで3回ずつ話します、ということになっている。始皇帝はともかく、準備が間に合わなかったのではないか。
孔子はなんといっても聖人。しかし、その聖人としての性格は人格の極致で、人間を超越したところがない人。釈迦、キリスト、マホメットのような奇跡物語がないし、極端な行動もない。追いつくのはむずかしくても、やってできないことはないだろうという人。だから、聖人であるともいえる。
諸葛亮は、儒家に染まった人とは思えないが、それでも智謀鬼神のごとくというよりは、これも人格の極致みたいな人。桑原隲蔵は、諸葛亮の生涯で自分が最も尊敬するのは、北伐の時だと言っている。諸葛亮の事績の中で尊敬する点としてあげられているのは、忠義、公平、清廉。
これも中国史にたまに出てくるがめずらしいことだし、日本的に受けるということもあるのだろう。