陳独秀

長堀祐造『陳独秀 反骨の志士、近代中国の先導者』山川出版社、2015


中国共産党の初期の指導者、陳独秀の簡潔な伝記。この人も名前くらいしか知らなかった。

新文化運動、五四運動の指導者。当時はまだ共産主義者ではなかった。五四運動が敗北して、ソ連の指導下に中国共産党を創設、その指導者になった。しかし、第一次国共合作が失敗した後、その責任を負わされて、コミンテルン中共から排撃されて失脚、その後トロツキー派にまわり、裏切り者として扱われたが、日本との戦争中に病死、という人。

もとは文学者だが、本当に負けた方にばかり回っている人。しかも最後がトロツキー派なので、人民共和国成立以後もトロツキストとして逆徒にされた。最近までは中共党史の中に埋もれていた。

こういう人だけあって、とにかく筋を通そうとする人。政治的な立ち回りの得意な人ではなかったのだろう。中国的な知識人のひとつの姿。