文豪たちの友情
石井千湖『文豪たちの友情』立東舎、2018
日本近代文学の文豪同士の人間関係物語。友情といっても、半ば倒錯的な、ややこしい関係ばかり。13組の組み合わせを話にとっていて、佐藤春夫と堀口大学、萩原朔太郎と室生犀星、武者小路実篤と志賀直哉、川端康成と横光利一、などなど。
文壇の人間関係は、お互いに評価し合う関係なので、他の関係に取り替えがきかず、そのうち女が絡んできて、どうにもなくなったりすることもある。だいたい女の取り合いになると、どうしようもなくなって別れてしまうようだが。
著者は、よく文献に当たって調べていると思うが、こういう人間関係について、当事者の作家が書いている本だけに依拠して書くということができるのだろうか。リアルタイムで書かれた日記だったらともかく、老人になってから書かれた回想では、相当事実を潤色していても不思議ではないと思う。
あと、これはBLネタにされるのは納得。文豪ストレイドッグスや、月に吠えらんねえとかは、ちょうど取り付けるネタを見つけて作品にしているわけで、着眼の勝ち。まあ、こういう作品をネタにして、どんどん小説を読んでいく足がかりにできればいいと思う。