自分の顔が好きですか?

山口真美『自分の顔が好きですか? 「顔」の心理学』岩波ジュニア新書、2018


著者は心理学者。顔と心理の関係を研究している。表情の読み取りが何歳くらいからできるのか、そもそもなぜ表情の読み取りができるのか、顔のどこを見ているのか、などなど、いろいろな興味深い問題を考えている。

言うまでもなく、人間は非常に顔にひきつけられているもの。著者は、「顔は磨いていくもの」というし、確かにそういう面はあると思うが、異文化間の顔の美醜判断の一致率は90%あるという研究を紹介しており、顔の美醜は遺伝であるとものべられている(ただし女性のみ)。

子供っぽい顔は、「かわいく」見える。大きな頭、大きな頭蓋重量、大きく下方にある目、ふくらんだ頬、太く短い手足、弾力性のある肌、不器用な動き、つまり子供、赤ん坊の特徴を残しているのが「かわいい」こと。子供を保護するのは、人としての生物的な性質だから、この要素をもっている人の印象がよくなる。アイドルの歌が外れていてもいいのは、この理屈。アジア人が若くみえるのもこれ。

いろいろと勉強になることが多い。これを利用して顔を改造できるのかどうかはまた別だが。