開けられたパンドラの箱

月刊『創』編集部編『開けられたパンドラの箱 やまゆり園障害者殺傷事件』創出版、2018


これはいろんな意味でおもしろかった。読む価値があるのは、植松聖自身の文章(篠田博之との手紙)が載っている前半のみ。

読んでいるとわかるが、非常に論理的で明晰な文章。「心失者」(植松自身の造語で、「意思疎通の取れない人」)はすべて安楽死させるべき、という考え方の人。まあ、植松自身のしたことは、「安楽死」ではないのだが。

手紙や、面会でのやり取りを見ていると、完全に一貫した論理を持っており、歪んでいるといえばそうだが、前提が社会的に認められないからそうだというだけのことで、本人の言っていることは完全に論理的。というか、意思疎通が取れない、本人が意思を持っているのかいないのかがわからないという人をいつまでも、生かしておくことの意味という問題に簡単に答えられる人はいないはず。

後半は、篠田博之(いつものバカ文章しか書かない)とか、香山リカ(これも同じ)とか、最首悟(終わっている)とか、まあ、感情的な反発しかしない人たちの文章が並ぶ。みっともない。斎藤環の書いていることは、全部が妥当だとは思えないが、とりあえずまとも。