誰も書かなかった「反日」地方紙の正体

日下公人編『誰も書かなかった「反日」地方紙の正体』産経新聞出版、2011


タイトルはちょっとバカっぽく、書いているのも右派の論客ばかり。しかし、この本はちょっと読む価値がある。

最も重要な指摘は、「地方紙はじつはどこも同じ」ということ。なぜなら、共同の配信記事ばかりだから。記事は、海外記事だけではなく、国内記事も共同の配信に頼っている。さらには社説もそう。コピペ社説が存在するのは、地方紙には、全国レベルの問題についての社説を書ける記者はいないから。

結局問題は、地方紙(ブロック紙含む)は、地元権力機関の一部であり、そこにマスコミとしての機能があるかといえば、けっこうない。その体裁をつくろうために、共同に頼り、あとは適当な記者が適当な記事を書いておわり。全国紙に比べて、地方紙の中身はガバガバということ。

指摘の中にはおかしいものもあるが、地方の世論がけっこう地元紙に左右されていて、そこに問題があるというのは確かだろう。地方紙研究、ほかによい本があるといいのだが。