女はなぜ土俵にあがれないのか
内館牧子『女はなぜ土俵にあがれないのか』幻冬舎新書、2006
内容はタイトルの通り、女が土俵に上がれないことになっている理由を歴史的に考察したもの。現在の大相撲の土俵づくりからはじまり、相撲の歴史、結界論、宗教論、血穢など、豊富な学識でストーリーを展開させていく。
結論は、現在相撲の土俵に女を上げないのは、いくつかの起源はあるものの、「そういうことになっているから」としか言えないというもの。もちろん、このような禁忌の起源は江戸時代くらいにしか遡れない。
それでも、著者は伝統に基づく芸能などの領域は、近代合理性のみに基づいて再構成されれば、消滅してしまうから、「現在禁じられていることはそのままで」行って構わないとしている。
相撲のみならず、伝統、社会規範、差別、合理性など、多くの問題に対して問題提起している好著。この識見は、りっぱなもの。