特権キャリア警察官

時任兼作『特権キャリア警察官 日本を支配する600人の野望』講談社、2018


警察キャリア官僚の内幕物。著者は雑誌記者。それなりにおもしろい。

最近の警察官僚事情、特に内閣人事局ができた後の警察官僚と政権の関係について生々しいことが書いてあって、そこはおもしろく読めた。伊藤詩織事件で有名になった中村格など、警察官僚トップは権力と密着しているので、犬と飼い主の関係。これらの材料は、警察組織に内通者がいなければ書けないようなことが多い。その根源はやはり人事をめぐる警察組織内部の暗闘。自分がなりたいために、他人を引きずり降ろそうとするという、一般的な行動パターン。

警察官僚が、どのようなコースをたどって出世していくかというキャリアパスを書いている前半部もおもしろかった。警察はポストが豊富にあり、さらに最近では最も重要なものが内閣官房関連のポスト。警察のキャリアパスも、地方の重要ポストを歴任することよりも、政権中枢に近い、内閣官房のポストを経験した者が出世する機会が増えた。この傾向は弱まることはないだろう。

警察の最近の不祥事もおもしろいところ。キャリア官僚の不祥事は徹底的に隠蔽されており、警察自身の捜査が及ばない。それを利用してやりたい放題の人がいるというお話。

警察、とにかく黒いところ。権力に近い組織はこういうことになるのだろう。