イスラム教の論理

飯山陽『イスラム教の論理』新潮新書、2018


非常に驚いた本。著者は、イスラム法学者かつ非イスラム。この立場だから、「イスラム教」と書けたのだろう。著者自身が書いているが、非イスラムを通すイスラム法学者など、ほぼいないだろう。いても意味がないから。

その分、著者の立ち位置は明確で、「イスラム教は西欧的価値観とは相容れないもの」ということ。これだったら他の人も言っていたが、著者は、「イスラム教は平和の宗教」だという表現は教義を踏まえていないか、不都合な部分を隠しているからだと断言する。

このような主張は、「なぜイスラム教徒はテロをおこすのか?」「なぜイスラム国のような過激派に共鳴する人があとをたたないのか?」「なぜイスラム教徒は自爆などという暴挙におよぶのか?」という疑問をなんら解決しない。イスラム過激派が悪いというよりは、イスラム過激派は、イスラム教の教義に忠実なだけ。穏健なイスラム教徒も、彼らの正しさを否定することはできない。イスラム教の教義そのものが、テロを正当化するものなので、テロを否定することは根本的にできないもの。

イスラム国への支持を、洗脳だ薬漬けだとごまかすのは、ためにする議論イスラム国は教義に忠実だから支持されているのであり、イスラム国をイスラム教から分離することができないことが問題。

自分のイスラム理解がぜんぜん足りてないことがよくわかった。日本人のぬるいイスラム支持はやはりやめるべき。アメリカやヨーロッパは、それをはっきり言うと都合が悪くなるから黙っているだけ。