保守主義とは何か

宇野重規保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』中公新書、2016


評判の高い本なので読んでみたが、やはりよい本。きちんと書けている。バーク、エリオット、ハイエク、オークショット、フリードマンノージック保守主義の系譜として捉え、それにアメリカ「保守革命」、ネオコン、日本の保守主義を足している。これで保守主義のおよその理解はできる。

しかし、やはり日本の保守主義はなかなかこの整理にうまくはまらない。著者も、吉田茂福田恆存西部邁らに言及するが、日本の保守主義はこういうものという整理はできていない。できない理由も書いている。ヨーロッパの保守主義アメリカの保守主義、日本の保守主義は、共通部分はあるが、それぞれ別のもの。ひとつの枠で整理しようとすることはむずかしい。

特に日本の保守主義は、「主義」のないもの。しかも、保守する対象が人によってバラバラ。これはうまくいかない。たぶん、日本の保守というものを理解しようと思って読んだ人は混乱するだろうし、それが著者の意図のひとつでもあるのだろう。