校閲記者の目

毎日新聞校閲グループ(編)『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』PHP、2017


新聞の校閲記者が何をしているかということについての本。基本的には日本語のミスが中心だが、それだけではなく、事実の間違いその他を含む。校閲は、「間違いをゼロにする」ためのものなので、なんでも対象になる。

日本語の誤用は、他のいろいろな本でも指摘されているので、なるほどと思うところはあるが、それほど驚くようなことはない。それよりも、難しいのは事実の間違い。

東京大空襲は3月10日とは覚えていても、実際の空襲は3月10日未明に行われたので、「空襲の何日前」という記述はよく数えないと間違えるという話。よほど細かく気をつけていないとわからない。

この前、歴史地図の校正(これは特殊な領域)について、本に載っている地図が間違いだらけという記述を読んだので、事実関係の間違いは、簡単には直せないということは深刻な問題。現在のことでもそうなので、ちょっと昔のことはすぐにわからなくなるもの。

新聞記事に間違いがあれば、用字用語の間違いであっても訂正を出さなければならないので、非常に神経を使う仕事。また、この時代でも、校正はプリントした紙に鉛筆でするもの。画面で校正するのは、やはり都合が悪いから。校正者のしごとはとにかく難しい。