史記の風景

宮城谷昌光史記の風景』新潮文庫、1997


宮城谷昌光史記エッセイ。エッセイといっても、史記の文章をそのまま紹介するのではない(それだと翻訳)ので、史記の記述に、他の史書白川静の漢字研究を参照して、いろいろな解釈をほどこしている。

著者自身もあとがきで書いているが、これはかなり大変な作業で、史記のテキストの他に何を読んでいるかということが問題になる。元になった連載は、産経新聞と、新潮社の「波」に掲載されていたが、三年以上続いた。

この作業は同じボリュームの小説に匹敵する。宮城谷昌光の小説は史伝小説だから、非常に手間がかかる。それとは別にこういう仕事もしているので、この熱意には頭が下がるばかり。

自分が史記春秋時代の部分をよくわかっていないこともあって、初めて読んだことが多かった。やはり史記を通し読みしなければダメ。