教養としてのテクノロジー

伊藤穰一アンドレー・ウール『教養としてのテクノロジー AI、仮想通貨、ブロックチェーンNHK出版新書、2018


MITメディアラボ伊藤穰一アンドレー・ウールのエッセイ。サブタイトルが、AI、仮想通貨、ブロックチェーンとなっていて、確かにそれに関連したことが書いてあるが、それ以外の教育(ここだけウールが執筆)やテクノロジーと日本みたいな問題についても書かれているので、広く、技術と人間の関係についてのエッセイになっている。

これらの技術について、何かを知りたいと思ってこの本を読むと肩透かしになってしまうのだが、技術そのものの内容を説明しようとしている本なのではなく、これらの技術と社会のインターフェイスについて書かれている。だから、倫理とか法律とか、既存の社会制度、権力のようなものと新しい技術をどうすればうまく組み合わせられるかということについての本。

こちらは、仮想通貨とブロックチェーンそのものについての知識が足りないので、この本を読むには早すぎた。唯一読んで面白かったのは、教育部の部分。学校に行かないこどもに教育をする「アンスクーリング」の話だが、いまの規律で子供を縛るような学校教育はこれからはいらなくなっていくという話。それはそうだと思うが、この制度設計を変えていくのは非常に手間がかかるだろう。だから、一部の人々が、勝手に「アンスクーリング」を始めたほうが話が早く、それがいい教育だということがわかれば、親は勝手にそちらの方に移っていく。この方法のほうが、低コストで社会制度を変えられる、よいやり方。