風俗で働いたら人生変わったwww

水嶋かおりん『風俗で働いたら人生変わったwww』コア新書、2016


これは拾いもの。非常に面白かった。本のタイトルがバカっぽいのに対して内容は真逆。分析的で、実践的な本。

著者は、奥付によると1983年生まれ、風俗嬢兼風俗嬢講師とある。これだけではどこの誰ともわからないが、風俗業についての過去の主要な文献も読んでいて、風俗業の変化を分析しており、修士論文くらいは余裕で書けそうな筆力。

自身が風俗嬢として働き出したのは、1998年、16歳の時で、その後高校を卒業してから専門学校に行き、その間も風俗嬢を続けているので、この仕事についてからもう20年の経験がある。

内容は、自分の経験を単純に書くことはほとんどしておらず、風俗嬢の社会的な扱われ方、リスク、仕事の実際の内容、精神的な問題との関連、実際に働く場合の業者の選び方など、痒いところに手が届くように書かれている。

さらに、自分や客、社会、特に他の女性、フェミニズムから見た風俗嬢、法律や規制との関係を客観的に把握しており、分析能力は驚異的。自分も風俗業を経営する立場にいて、その視点も取り入れられているので、説得力がある。

この仕事がリスクの高い特殊な接客業だということは、関係者が口を揃えて言っていることだが、著者もその点を指摘している。議論の運び方は大変に巧み。知識もある人で、柳暗花明という言葉はこの本で初めて知った。元の出典は王維。風景の描写だが、転じて遊郭の意味でも使われる。とにかく勉強になった。