和歌のルール

渡部泰明編『和歌のルール』笠間書院、2014


これは非常におもしろかった。和歌の技法や作られ方の解説書。高校教科書に載っているような作品を中心に、10のルールを取り上げて説明している。

枕詞、序詞、見立て、掛詞、縁語、本歌取り、物名、折句・沓冠、長歌、題詠。書いているのは当然国文学者なので、内容は確実。これらのことはだいたい高校の古文で習った記憶はあるのだが、さらっと流しただけだったのか、自分が単に忘れただけなのか、こういうことだとは知らなかった。

枕詞は、「そういう決まり」としか考えていなかったので、どうでもいいと思っていたが、実際は万葉集に用例が集中していて、昔の呪術的な考えや言葉と関係が深かった。それに元の用例をいくつも知っていれば、その用例で歌のイメージを喚起していたはず。本歌取りと同じ。

折句とか、ほとんど掲示板の「タテ読み」と同じ。あれよりは複雑で、ルールも厳格だが、基本的には変わらない。縦読みを発明したのが誰かは知らないが、中国語でも同じような用例があるので、漢字文化圏の特徴なのだろう。アルファベットであれはできない。

和歌は、単独では成り立たないもので、これまでの歌をどれほど知っているかが大事なもの。昔は百人一首で覚えさせてから、歌集を暗記したりしていたのだが、それがなくなると和歌を味わうのは大変。やはり古文をきちんとやらせないと・・・。