仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―

仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平真言密教の名宝 ―」東京国立博物館、2018.2.25


東博のいまの特別展がこれ。そんなに人がいるのか?と思ったら、入口に「待ち時間◯分」と書いてある。しかし、この日はたいしたことはなかった。助かった。

前半の第1展示室は、仁和寺の文書、手紙の類。いつも思うが、歴史研究者とか、在野の歴史家くらいだったらともかく、「◯◯天皇宸翰」とあったところで、見る人は内容がわからないどころか、天皇の名前も知らず、何時代のものともわからず、字の美しさもわからない。わからないづくしでも、見てありがたいと思うものなのか?

仁和寺は、9世紀にできた寺なので、とにかく文書はたくさんあり、今回の見ものは、空海「三十帖冊子」。展示されている部分は空海の真筆なので、書が好きな人には価値があるはず。はずだというのは、自分には書のことがよくわからないので、国宝だといわれても、その価値がよくわからないから。

第2展示室は、主に仏像。これは実際にすごく、仁和寺観音堂の様子をそのまま再現している。これは応仁の乱で焼けてしまった仁和寺の伽藍を、江戸時代になってわざわざ御所から移築したというもの。通常非公開。ここでは、その通りの位置で、仏像を配置し、そこだけ撮影可能にしてある。これはけっこうな迫力で、客がたくさん来る理由も納得。

仁和寺以外の御室派寺院の仏像も多く展示されていて、そこの見ものは、葛井寺の本尊「千手観音菩薩坐像」。手が1041本あって、本当に千手ある千手観音は日本でこれだけ。これは見応えがあるもの。

だいたい京都や奈良の寺宝の展覧会は、「そのくらい、実際に行って見てくればいいのでは」と思っているが、これは普段見せていないものや、同じ宗派のいろいろな寺宝も見せてくれて、よかった。また近々行く機会があるので、たのしみ。