暮らして見た普天間

植村秀樹『暮らして見た普天間 沖縄米軍基地問題を考える』吉田書店、2015


著者が自分で213日、普天間基地の近くに住んで書いた沖縄基地問題の観察本。部分的に間違っているところはあるが、ある程度、公正な評価をしている。ある程度、としか言えないレベルだが。

間違っているのは、沖縄米軍基地の抑止力の部分。抑止力などないと言っている。著者の知識の程度では、こういうことはわからない。大したことはなない。

しかし、他の部分ではそんなに外れてはいない。とはいえ、もともと著者は沖縄米軍基地の存在に批判的なので、そういう偏りはある。それはそれとして、オスプレイの事故可能性とか、なるべく公正に判断しようとしていることは確か。

それでも、仲井真県政批判とか、つまらないことを書いては、評価の公正さを損なっている。もったいない。著者のいうとおり、「沖縄県民といっても、いろいろいる」ということなのに。ここまでこじれた問題を判断するのは、当事者に近い人には無理だが、かといって、当事者に近づかないとわからないことがあるのは事実。そこをなるべく工夫して、地元に近い目で見ようとしているのは、貴重なところ。あまりうまくいっていないのは残念。