新聞記者

望月衣塑子『新聞記者』角川新書、2017


官房長官記者会見で有名になった望月記者の本。『武器輸出と日本企業』でどういう人かはわかっていたから、読む必要ないと思っていたが、別件で読まないといけなくなってしまい、結局読んだ。まあ、内容は予想通り。

とにかく熱意だけの人。しかしこの人、慶応の政治学科卒業で、赤木莞爾ゼミだったんだと。ほんとかと思ったが、嘘つく理由はなく、「核抑止論を肯定していたので合わなかった」と書いている。そりゃそうだろう。それにしても、赤木ゼミで何を学んだのか、何も書いていないところがさすが。本当にキライなので、何も勉強しなかったのだろう。これが著者が今に至っている理由。つまり、好きな人しか信じないということ。

新聞記者としては、ある程度は有能だろう。ある程度というのは、熱意は非常にあり、人にまめにアクセスできるというところ。これは新聞記者としての必要条件。読売と朝日からのお誘い(移籍)を2度断ったと書いている。それは別にいいけど、そのくだりが相当しつこく、よほど言いたいらしい。つまり自己顕示欲も非常に強い人。

とにかく熱意だけあって、あとは正義感というか、価値観だけで動いている。官房長官会見はその結果。なぜ周りの記者から自分が文句をつけられているのか、本人には自覚がない。記者クラブから、総意として控えるようにという文書が出かかったが、結局出なかったという。そんなものが出たら、公表されて記者クラブの面目は丸つぶれだと思うので、出るわけはないが、著者は証拠を示していないので、そんな文書があったかなかったかもわからない。それはどうなの。

また記者会見は、テレビに官房長官の嫌な顔を映させるのが目的だと言っている。他の記者は情報収集ができなくなって困っているのだが、著者は記者としての義務だと思ってやっている。記者というよりは運動家。

こういう人が受けてしまうのも、今時の世の中。いろいろとおそろしいわ。