2017-12-10 眉山 本 #小説 太宰治『眉山』 短編だが、超絶的な傑作。こんなものが書けるのか。 トシちゃんこと眉山のバカっぽさ。太宰が馬鹿な人間を心底軽蔑していたことがよくわかる。それにしても、「基本的人権=人絹」のくだりはかなり笑う。いまは人絹といっても通じないのだろう。 最後のところで一発逆転されるのだが、ここが本当に切ない。バカにしていた眉山の行動はことごとく愛情の現れ。けっきょく眉山は戻ってこないことがほのめかされる。これはつらいわ。 勘ぐれば、太宰本人もこういう女を見たことがあったのかもしれない。さんざん笑わせて、最後にグサッと刺してくる。すべてがきちんと設計されている。おそろしい。