大ニュース=ルパンとらわる

モーリス・ルブラン南洋一郎訳)『大ニュース=ルパンとらわる』(怪盗紳士より)『少年小説大系』26「少年翻訳小説集」、1995


これは、図書館で発掘。野村愛正訳『巌窟王』を読むつもりだったが、こっちが短いので先に読んだ。ルパンものをぜんぜん読んだことがないのだが、おもしろすぎる。

偕成社のルパンシリーズの1巻『怪盗紳士』の1話がこれ。巻末の解説を読むと、『怪盗紳士』は原作では9編あって、そのうち5編だけが載っている抄訳(編者によれば「再話」)である。非常に短く、すぐ読める。それでいて、ちゃんとおもしろい。語り手が実は主人公でルパンというのもよし。

解説によれば、南洋一郎の「再話」は、非常にたくみで、原作のエッセンスをよく捕まえているという。これは子供の時に読んだら、ハマっていただろう。子供の頃はホームズものばっかり読んでいて、ルパンはぜんぜん読まなかった。もったいなかった。

この巻は、「少年翻訳小説集」なので、1900年から1958年(これが『怪盗紳士』)までの作品を集めている。児童文学史での翻訳小説の位置づけがわかりやすく説明してあって、助かった。自分の子供時代の読書の核が、講談社刊『世界名作全集』だったこともわかった。編者も、この全集の詳細はわからないという。図書館で、探せる限りは探すが、その前に『巌窟王』を読まねば。