月光の囁き 1-6

喜国雅彦月光の囁き』1-6、1995-1997


こっちが原作。6巻本である。一読して、やはりよくできていることは確かなのだが、映画のほうが自分としては好き。

こちらは、まず絵柄でひっかかってしまった。沙月は美少女なので(もちろん、そのように描かれてはいるが)、映画版でのつぐみと比較してしまう。作家に画力があればと思う。

そこはいいとして、こちらでは、沙月が植松と拓也を旅館に呼び出して、拓也が滝に転落というくだりがない。植松は沙月と別れ、その後は沙月、拓也、マルケンの三角関係が始まることになっている。映画版では、この三角関係は示唆されただけで終わっていたが、こっちは沙月とマルケンが拓也の前でセックスしているし、というか3Pだ。

こっちのほうが沙月と拓也の業の深さが描きこまれていて、いいという考えもあると思うが、映画のように短くサクッとまとめたほうが、より印象が鮮烈になるように思う。このマンガのエッセンスはちゃんと映画で完結しているのだし。

あとがきで執筆の経緯が書かれているが、これがはじめてのストーリーマンガで、シリアス作品だという。それでこれだけ描けているのだから、すごいことは確か。それまではギャグ漫画の人だった。あまり長くないのがいい。