変わりゆくマンガと社会

「変わりゆくマンガと社会 ~ネット・実写化・聖地巡礼~」表智之広島市まんが図書館、2017.10.14


これは講演会。講演者は、北九州市漫画ミュージアム専門研究員。

内容は、マンガ表現とマンガ業界のおかれた現状みたいなこと。実写化、表現の多様性、ネットでのマンガ表現、ゲームとの関連、「この世界の片隅に」「君の名は」のヒット、という最近の話題をきちんと組み合わせている。

基本的に、マンガも出版の一部なので、出版の衰退はマンガの衰退。背表紙のあるマンガ雑誌で採算ラインが100万部、中綴じのマンガ雑誌ではそれが50万部。しかし、これより上で採算が取れているのは「週刊少年ジャンプ」しかなく、他の雑誌は単体では赤字。

それをカバーしようとする努力が、実写化、ネット配信を含むネットとの融合、メディアミックス、聖地巡礼などの仕組み。結局、マンガも単体ではなかなか成立しなくなり、他の表現や場所と組み合わせた要素のひとつでないと見てもらえなくなってきた。残るのはスーパー傑作やら人気作のみ。他の作品はそれにぶら下がらないと読んでもらえないが、その機会自体が減ってきた。

実際の話はそんなに暗い語り口では言っていなかったが、どこの分野でも同じことなので、驚くべきことではない。頭の中が整理されて、よかった。せっかくマンガ専門図書館があるのだから、こういう機会がもっとあればいいのに。