藤森照信展

藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察広島市現代美術館、2017.10.8


現代美術館で9月29日から始まった展覧会。これはけっこう楽しみにしていったら、やっぱりおもしろい。

建築史家で建築家。しかし、建築を実際にはじめたのは44歳から。まあ歴史家は実作とかしないことが多いし。この人が特殊なのは、他の誰もやりそうもないこと、「植物と建築の融合」というものをしていること。

植物っぽいデザインとかだったら、そんなに苦労はないと思うが、屋根に植物を生やしたり、なまこ壁の枠に植物を生やしたりということになると、非常にたいへん。なぜなら植物は手入れが必要。またしばらく雨が降らないと枯れてしまう。屋根の水やりなど、どうやってするのか、よくわからない。しかも、失敗すると雨漏りするそうで、それはそれでたいへん。高層ビルの屋上庭園なんかとは全然違うもの。

できている建築は、たしかに見た目からして、独特。文字通り植物と共生している。管理はたいへんでも、これは価値があるのだろう。

建築史家としての、仕事としてはやはり建築探偵がすごい。日本の近代建築をすべて調べ、関連文献をすべて読み、存命の関係者すべてと会うことを志したというが、そんなに大変なことをやりきっているのがおそろしい。今の建築マップがたくさんある状況はこの人がいなかったらできなかった。

あと、重要なことは路上観察学会。これも達人が勝手に集まって勝手に始めたことが、社会とそこにいる人の目を変えたというもの。実際に路上観察学会を設立したときに掲げていた、ボロ布のような旗が展示してある。

建築をおもしろくしてくれたえらい人。藤森先生自身が、9月30日に美術館に来て講演していったのだが、これが聞けなかったことがざんねん。しかし展示期間中にあと一回は来るそうなので、それは行きたい。