睡眠の科学

櫻井武『睡眠の科学 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』講談社ブルーバックス、2010



神経科学者による睡眠の本。たいへんおもしろい。レム睡眠とノンレム睡眠は違いますよ、と言う程度の事しか分かっていなかったが、きちんとした専門家の観点から、この時点までの睡眠研究の成果を取り上げて、よく整理されている。

著者が強調しているのは、なぜ眠るのかという問いと、なぜ眠気を感じるのかという問いは別のものだと言うこと。

前者について言えば、ノンレム睡眠の役割は、大脳皮質を休ませること。レム睡眠の役割は、清久のファイルシステムの整理。夢の働きも大体これで説明がつく。

後者について言えば、視床下部に眠りの状況をモニターするシステムがある。一旦眠ってしまうと、眠りの量はそれまで眠っていなかった量で決められる。しかし、限度を超えて眠っていない場合、どうやって眠気が起こるのか、どうやって眠りを中断させたあとでまた眠くなるのか、やはりよくわからないところが多い。

これもう一回通読した位ではわからず、脳内物質のシステムをちゃんと頭に入れて再読しないとだめな本。しかしとっかかりがわかったので、これからいろいろ読んでいけばいいはず。大変ありがたい本。