下水道映画を探検する

忠田友幸『下水道映画を探検する』星海社新書、2016


著者は1954年生まれ、元下水道技師。この本は、『月刊下水道』に連載されていた記事に加筆したもの。

著者は、下水道の専門家で映画好きという立場で書いているのだが、下水道そのものがテーマの映画というものはめったにないし、タイトルを見て下水道が出て来ることがわかるという映画もあまりない(「地下水道」とか、ないことはないが)。

今のように、映画がDVDソフトや衛星放送で簡単に見られるようになったから、映画が専門でない人でも書けた本だが、「どの映画に下水道が出てくるかは、タイトルではわからないし、あらすじを読んでも簡単にはわからない」ことを考えると、これだけの映画を集めてくるのがたいへん。

「ネズミ」「災害」「モンスター」「逃走路」「強奪」「隠れ家」「脱獄」「歴史」のテーマごとに映画が集められているが、59本取り上げられている。メジャーな映画ばかりではなく、「放射能X」とか、「Xファイル」シーズン2、第2話「宿主」みたいなマイナー映画、テレビも取り上げられているので、どうやって探しているのかということがなぞ。

映画そのものがどうかということよりも、その映画の中で下水道がどのように取り扱われているかという本なので、「この下水道設定はここがおかしい」とか、そういう評価。しかし、これは十分おもしろい。

著者が紹介した映画の4分の1くらいしか見ていないが、かなり見る気にさせる本。とりあえず「第七天国」(1927)は見たい。