戦略的思考の技術

梶井厚志『戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する』中公新書、2002


ゲーム理論の入門書。一切数式は使わず、事例だけで書かれている。その分、非常にていねい。

戦略、先読み、不確実性、インセンティブ、コミットメント、ロック・イン、シグナリング、スクリーニング、モラル・ハザード、値引き競争、オークションに章があてられている。

この本は、説明が明確であるだけでなく(それだけなら、数式を使っていればよいはず)、事例の提示が非常に読み手をひきつけるように書かれている。著者の実体験もよく引用されていて、これがまたおもしろい。

経済理論が人間行動の理論だということをよくわかるようにしている本。一回読んで完全に頭に入るわけではなく、熟読して考え方をきちんとノートすることが必要(教科書だから当然だが)。この本はその作業をやる気にさせる本。教科書としてよく書けていて、読んでおもしろい。良書。