やれたかも委員会 1

吉田貴司『やれたかも委員会』電書バト、2017


これは読者投稿をもとにしたマンガ。「あの時、もうひと押ししていれば、セックスできたかも」と男が思っているエピソードを、「やれたかも委員会」(男性2人、女性1人)持ち込み、委員会が「やれた」「やれたとは言えない」の判定をする。

いつも「やれた」判定を出すのは男性委員2人。女性委員は、「やれたとは言えない」の札しか出さない。だから、委員会の判定はいつも「やれた」になるのだが、本当に重要なのは女性委員の判定で、「やれたかもエピソードは、基本的には男の思い込み」だと突き刺してくる。

だいたい「あの時こうしていれば」というのは後付けなので、「なんで、もうひと押しできなかったのか」ということの方が問題だが、そういうのを後押しして、「よくやった」と元気づけてくれるのが男性、「まだ甘いな」と笑っているのが女性という構図。話そのものがおもしろく、これは元ネタが読者投稿というところから来ている。絵はうまくないが、それも含めてよくできている。

巻末に、この本が出版された経緯が書いてあり、もともとは持ち込みだったマンガが編集者に断られ、それを他の人が見て「おもしろいから描け」といったら、その後ネットに載ってそれが広まったという話。最近、こういう話が多いが、それくらい編集者と書き手の関係は微妙だし、編集者の目もそれほどあてにはならない。こっちの方が「やれたかも」を体現している。