元警察署長が教えるお巡りさんの上手な使い方

石橋吾郎『元警察署長が教えるお巡りさんの上手な使い方』双葉社、2016


著者は、ノンキャリア出身元警視長まで昇進したと言うことなので、ノンキャリアでは1番出世した身分の。一応1番下から上がっていた人なので、警察の1番下から上の方まで基本的には知っている。多くの内容は、刑事訴訟法警察法関連だが、それが警察の仕事の基礎だから、これは当然。

大体の内容は知っていたことではあるが、いくつかの事はこの本で初めて知った。例えば、Nシステムは、写真を撮っているのだが、著者はナンバープレートだけ切り離して処理されていて、運転者の顔はわからないと書いている。本当かと思うが、こんなことで嘘をついても意味がないと思うので、本当だろう。しかもNシステムの画像は、裁判での証拠としては、一切使えないと言う。本当に警備関連の情報収集のためのシステム。

他に面白かったところは、警察学校や警察官の昇進についての話。警察学校の課程は、慣れていればともかく、そうでない人にはかなりきついだろう。時間管理が厳しい。自衛隊とも同じだと思うが、警察は自衛隊よりも、個人に多くを要求していて、組織で人をかばっている面が相対的には少ないような気がする。

あと、面白かったのは、留置場の中での話。1番管理が難しいのは、薬物中毒者。これはよくわかる。問題は薬物中毒者と同室にされた人。これは非常にきついだろう。逆に管理がしやすいのは、ヤクザの幹部。これは非常に態度がきちんとしていて、同室者に対して、規律を正しくさせると言う。また、公安関連の容疑者、特に過激派の逃亡している幹部は、絶対に口を割らなかったと言う。

公安関連の事は、少しずつ話を拾っていくしかないが、退職した幹部に話せる限りの事は話しているだろう。1番肝心な事は、小説等で補完していくしかない。