100分de名著 陳寿"三国志"

「100分de名著 陳寿"三国志"」第4回、「劉備の仁、諸葛亮の智」


この回がやっと、劉備諸葛亮。これがトリでないと締まらない。この番組、映像資料代わりに使っているのが、94年中央電視台版「三国演義」ではなくて、新三国、つまり2010年版「三国志 Three Kingdoms」なので、ぜんぜん乗れない。まあ、これはしかたがない。

桃園結義のところは、正史では、そのエピソードがなく、義兄弟として親しく交わっていたとだけある。諸葛亮は、劉備徐庶に推薦されて、三顧の礼を尽くして迎えたとちゃんと書いてある。しかし、これは劉備も、諸葛亮もお互いに了解した上での芝居。ただの傭兵隊だった劉備の集団は、これで政権っぽくなってくる。そもそも当時は雅言と方言ではお互いに通じない社会。

関羽の死と劉備の呉侵攻については、正史には諸葛亮が止めたというエピソードはない。劉備の遺言は正史にちゃんと書いてあるが、劉備の遺言は「乱命」だという評価が紹介される。劉備の呉侵攻を止めなかったのは、諸葛亮劉備の性格をよく理解していたから、止めるという選択肢はなかったと解釈している。

出師表は、上表されているのでただの手紙ではなく、施政方針を国内外に闡明したもの。五回の遠征の後の「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の話は、司馬懿がそのように考えたという話で、諸葛亮がそのように計を仕掛けたという話ではない。

伊集院光は、出師表は、頭のいい人から情がこぼれ落ちる瞬間だと言っている。読んだことがないのに、よくここまで言える。えらい。好きなのは孫権だと言うのも渋い。