他人を攻撃せずにはいられない人

片田珠美『他人を攻撃せずにはいられない人』PHP新書、2013


著者は精神科医精神分析家。けっこう有名な人だが、本は初めて読んだ。けっこうおもしろい。

この本で取り上げられているのは、他人に暴言を吐いたり、支配したり、けなして自信を失わせたり、水面下で工作して他人を攻撃したりしている人。つまりは、「攻撃欲の強い人」。

DVとか、虐待とか、あからさまな暴力はすぐにわかるが、この本で取り上げられているのは、そういう実力に訴えるのではなくて、言葉で攻撃してくる人。これは当人以外には簡単にはわからないことが多い。

こういう方法で他人を支配しようとする人々は、自己愛の塊で、傷つきやすく、傲慢、妬み深く、他人と異なる価値観を受け入れられない。その裏返しとして、自分を守るために他人を攻撃し、支配しようとしている。

この手の人にひっかかりやすい人は、心が弱く、相手に合わせようとする人で、自己防衛が下手な人。簡単に逃げようと思えば逃げられるのに、それをしない人。

対抗策は、相手にせず、逃げること。また攻撃欲の強い人の力の源泉は、自分の弱みが人に知られていないことなので、よく観察して、相手のことを知ることが重要。わかったら、結局避けることしかない。関わるだけムダ。

こういう人、普通の人っぽい人であっても、けっこういる。尼崎の連続殺人事件の主犯なんかも、このお仲間。気をつけるべきもの。