ブリューゲル「バベルの塔」展

ブリューゲルバベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝―ボスを超えて―、東京都美術館、2017.6.2


東京都美術館の、この展覧会、「バベルの塔」が呼び物なのだが、実際は、副題のとおり、ブリューゲルだけでなく、16世紀ネーデルラントのいろんな絵描きの作品を集めた展覧会。

一口に言えば、北方ルネサンスの絵は、「地味」。これがイタリア・ルネサンスの絵に比べてそんなに受けなかった理由はわかった。版画も多かった。これはかなり目が疲れた。

とにかく、細かい。ティツィアーノみたいなものとはぜんぜん違う。描き込みまくりで、絵のモデルも、キリストやマリアを除けば地味な人。しかし、これはこれであり。やっぱり上手い人が描くと、なんでも上手い。

そして、呼び物のバベルの塔、一見して「こんなに小さいの?」とびっくりした。ブリューゲルバベルの塔は2作あり、こっちは小さい方。大きい方はどのくらいあるのか知らないけど。

このバベルの塔、小さいが描き込みはものすごい。ルーペで見ないと細かいところはわからないようなもの。別室に拡大された模写と、スクリーンに投影された映像があるので、そっちを見て、見どころを確認してからあらためて作品にあたるのが吉。こんなに描けるのかと思うくらい、描きこんでいる。

大きい方のバベルの塔は、本物を見ていないので大きさがわからないのだが、こっちのバベルの塔は、赤っぽい色といい、単純な形といい、こっちの方がずっといいような気がする。やはり傑作は違うわ。

大きい方は、ウィーン美術史美術館がもっているが、こっちはボイマンス美術館というロッテルダムの美術館が持っている。ボスの絵も2点来ていたし、いろいろとおもしろかった。

笑えたのは、近所のレストランやラーメン屋がこの展覧会に協賛して、「バベル盛り」という期間限定メニューを出していること。とにかく食材を積み上げているというだけだけど、これもアリだ。東京都美術館は、こういうのがうまくて、さすがだなーと思う。