改訂新版 現代日本の政治

久米郁男、河野勝『改訂新版 現代日本の政治』放送大学教育振興会、2011


この本、放送大学の印刷教材なのだが、今の新しい版は、飯尾潤が書いている。そっちは読んでないのだが、全部書き換えたのかなー。とはいえ、この版は、久米郁男と河野勝だから、内容は確実。

日本政治の教科書だから、普通に取り上げているべきことは全部書いてある。章立てもふつう。別におかしいところはない。執筆担当を見ていると、河野勝は、「選挙と世論」、「政党」、「選挙制度と政党システム」の3つの章を書いているだけで、あとは久米郁男が書いている。まあ、選挙と政党は、そこの専門家が書いた方がいいに決まっているので、これでよし。

誰が書いても同じになりがちなことだが、きちんとした人が書いていると、微妙な書き方が違っている。こんな本、値段はどこの出版社でも(ページ数が同じであれば)一緒なので、まともな人が書いた本を読んだほうがいいに決まっている。それなりの大家が書けば、そんなに力を入れていなくても、きちんとした本になるもの。

逆に、たくさんの人が共同執筆で書いている本は、よほど編集過程がきちんとしていればともかく、章によって内容のレベルにばらつきがありすぎということがある。その点、この本は確実。

あと、こういう本のポイントは図表がきちんとしているかどうか。大家が書いているので、その点はスキがない。大して厚いわけではないが、内容に間違ったところがない。それが強み。飯尾潤の版は、図書館にあれば読むかなー。