恋愛を数学する

ハンナ・フライ(森本元太郎訳)『恋愛を数学する』朝日出版社、2017


これはおもしろい。数学と統計学を使って、恋愛と結婚のパターンを説明する本。もとはTEDトークから切り出したもの。

章立ては、「恋人ができるチャンス」、「美しさはどれくらい重要か」、「夜遊びの喜びを最大化するには」、「オンラインデート」、「恋の駆け引き」、「セックスの数学」、「いつ身を固めればいい」、「結婚式を最適化する方法」、「末永く幸せに暮らすために」。

数学の内容は、ちょっと数式も出て来るが、それを理解できなくても読める。それほど複雑な数学を使っているのではない。理系で大学を出ている人ならわかる。

おもしろかったのは、最初の「恋人ができるチャンス」。世界中で自分と合う異性が何人いるかを、簡単な算数で推定する方法。400万人住んでいるロンドンで自分に合う人の数を7つの質問から、推定する。自分にとって魅力的な人、自分を魅力的だと思ってくれる人、自分と馬が合いそうな人の比率が重要で、このパラメタをきつめに見積もると、26人、ゆるめに見積もると832人となっている。ゆるめの数字であっても、400万人の中の832人なので、そんなものか。しかし、著者は、最初にきつい条件を出して相手の候補を絞るのはやめろと言っている。まあ、そのとおり。

数学で説明している部分もいいが、著者の洞察も、それに劣らずおもしろいし、きちんと人を見ている。単に数学を人間行動に当てはめるだけの本ではない。