勉強の哲学

千葉雅也『勉強の哲学 来るべきバカのために』文藝春秋、2017


著者は哲学者。ドゥルーズガタリが専門の人。立命館大学准教授。

この本は、著者流の、「勉強マニュアル+勉強するということの考え方」。まあ、おもしろい。

勉強するということは「変身」すること。人は変身がコワイから、勉強がコワイのだとおっしゃっている。前半はいいとして、後半はどうなの?単にめんどくさいだけじゃないの?というか、著者は、何度も何度も変身できるのか?ドゥルーズガタリから、ガタッと考えを変えられるの?

というようなことは思いつくが、それはとりあえずいいわ。著者は、「自分とは、環境のノリに乗っ取られていて、それを言葉でバラしていくのが勉強だ」という。それはそのとおり。勉強とは言語偏重の人だとおっしゃっている。それもそのとおり。

思考の道具は、「アイロニー」=ツッコミと、「ユーモア」=ボケ。これでどんどん作っては崩していけというおはなし。なんかどっかで昔聞いたような気がする。脱構築とか?著者は、「アイロニーから決断主義へ」とも言っているので、単純に「逃走論」みたいなことを言っているわけではないが、微妙だわ。

自分の立ち位置をいつも見直すというのは著者の言う通り、必要なことだと思う。勉強はそのためのもの。しかし、これは思索の方法としてはいいが、「勉強一般」のことと考えていいのかなあ。著者は事実にベタッと張り付いて調べている人のことはどう思っているんだろう。

これはこれでいいと思うし、思索を深めたいと思っている人間には読んで損はしないと思う。しかし、事実につくことはこれはこれで大切だと思うけど。