ブスの本懐
カレー沢薫『ブスの本懐』太田出版、2016
Cakesの連載をまとめた本。めちゃくちゃにおもしろい。
最初に「まえがき」で、「では、ブスという言葉を避けるのでではなく、必要以上に使って、最終的にブスがなんなのかさえわからなくしてしまおう、というのが本書の狙いである」と書いてあるが、全然そうは思えない。
全編、これでもかとブスをののしっており(著者もブスを自認しているが)、自分が本物のブスだと思っている人が、これを笑って読めるのかどうか。確かにどこを読んでも笑えるので、それはそれでいいかもしれないが。
それにしても、これだけ笑えて、しかも手抜きになっているところが見いだせない。著者はもともとはマンガ家だが、これだけ書けるのだから、マンガはやめてもいいような。この本に載っているカットは、著者がいうところの、「ヘタウマから、ウマを取ったもの」になっている。筆で書かれた下手な字といい、これはこれでおもしろいのでアリだが。
とりあえず著者のエッセイは全部買ってみる気になった。コラムやエッセイはおもしろいことを書ける人がゴロゴロしていて本当におそろしい。