お笑い革命 日本共産党

テリー伊藤『お笑い革命 日本共産党飛鳥新社、1994


昔の小説。日本共産党の人気を上げるにはどうするかというお題に対する答は、現幹部(宮本、不破、上田)が派手な事件(党費使い込みスキャンダルで、幹部が代々木の党本部に立てこもる)を起こし、この事態を収拾するヒロインとして、若い女性党員をいきなり委員長にするという話。

話は荒唐無稽なもので、おまけにそんなにおもしろくない。共産党の幹部は、そんなにおもしろくいじれる人たちではないのだ。ただ、だから共産党の人気がないというのもそのとおりで、別のキャラクターに取り替えないと党の人気など出ないだろう。

テリー伊藤共産党にも若干の取材はしているが、基本的には共産党の公式見解をそのまま受け入れている。だから、共産党に批判的なことは出てこない。共産党は「クソ真面目」な路線でずっとやってきていて、そこから外れることを拒んできた組織なので、内部におもしろいキャラクターがいたとしても、それを活用することはできない。

それに加えて、その真面目路線は、宮本、不破の硬直的な考え方と表裏一体なのだから、それを覆すことはどうしても無理。テリー伊藤のアイディアも共産党には通じないということ。