岡田斗司夫の愛人になった彼女とならなかった私

鶉まどか『岡田斗司夫の愛人になった彼女とならなかった私』コア新書、2015


ブログを書籍化した本。内容は著者の体験に基づいた恋愛論。この手の本は出来不出来が激しいが、これはおもしろい。

著者は、自分のことを「サークルクラッシャー」と言っている。サークルの中で、男のメンバーをどんどん自分に惚れさせるように仕向け、それでいて誰とも関係はもたず、男たちを宙ぶらりんの状況に置いておく。そうするとサークルはそのうちにバラバラに・・・という迷惑な人。

しかし、問題なのは、著者にやられてしまう人々の方。ほとんどが、恋愛経験皆無なばかりか、まともな友人関係も持たず、「女の子は天から降ってくる」くらいに思っている。「リスクヘッジ」、「コスパ」をしつこく口にする。要するに、楽をしたい、ムダなことはしたくない、自分は傷つきたくないという話。これで女の子を自分から口説きに行けるかというと、だいたいそれは無理。

著者は、周りの男のそういうところを見抜いて、男の方から自分に口説きに来るように自分をセッティングし、来た男をどっちつかずの状態に放置していたというもの。まあ、どっちもどっちな話。

また、男がそうなる原因のひとつが、「親密すぎる親子関係」。特に母親との関係。母親に構われすぎで、その影響から離脱できておらず、自分が母親にしてもらったのと同じようなことを周りの女に求めていて、それで失敗。これも近年非常によくある話。

女の場合でも基本はそうだが、男の場合、受け身の態度しか取れないと、何もできないということになる。これは昔からそうだが、受け身の人が社会に増えすぎると笑えない話になる。

著者自身も自分に興味をもってくれない男に入れあげて、貢いだあげく、どうにもならないので結局あきらめたというオチがつく。著者も、男に対して自分に対する承認欲求を満たしてもらいたかったというもの。

いまどき、この手の話が非常に多い。昔に比べてこういうパターンの人がなぜ増えたのか。基本は親子関係に問題があるような気がするが、真相はよくわからない。