猫とともに去りぬ

ジャンニ・ロダーリ(関口英子訳)『猫とともに去りぬ』’光文社古典新訳文庫、2016


著者はイタリア人。児童文学の人。1920年生まれで、80年には亡くなっているので、わりと短命だった人。大戦中には共産党側でレジスタンス活動に従い、戦後も共産党系の知識人として童話を書いていたが、この本が書かれた頃には政治色の抜けた話を書いていた。

話はわりとしゃれていて、金持ちの工場主と貧乏職工の話に白雪姫っぽい要素がからむ話はちょっと笑わせる。しかし、イタリアの子供はこんな話で笑えるのか?明らかに「大人向き」の話だと思うが。

さらっと読めるのはいい。特に猫好きの人には。だいたい猫が出てきて、話をかき回しているので、それは楽しい。しかし自分自身が猫好きというわけではないので、その辺は微妙。

光文社のこのシリーズのおかげで、メジャーじゃなかった作家の作品もたくさん翻訳が出るようになったし、電子版も出ているので、ありがたい。この本は短いので、サクサク読めるところがよい。