ヘリコプターの最新知識

坪田敦史『ヘリコプターの最新知識』サイエンス・アイ新書、2009


同種の本は、ブルーバックスからも出ているが、先に読みやすそうなこちらを読んだ。確かにわかりやすい。

ヘリコプターがどのように飛んでいるかということは最小限わかればいいので、知りたかったことは、ヘリコプターがどの程度まで大きくすることができて、どのくらいのスピードまで出て、どのような用途に使われるのかということ。このくらいのことは、この本で十分わかる。

基本的にヘリコプターは、垂直離着陸機だということが最大の利点で、その代わりに、遅く、小さいものしか作れず(最大級のヘリコプターでも、40人積むことは難しい)、燃費は悪く、維持運用のコストは高い。維持コストが高い理由は、機構が固定翼機に比べて複雑で、部品の交換頻度が高く、維持の手間もかかるため。機構が簡易な安いヘリコプターは、購入だけなら2500万円くらいだが、燃料費抜きでも、年間100万円どころでは済まない。

日本でも、存在するヘリコプターの半分は、自衛隊アメリカ軍。残りも、その4割近くは警察、消防、救急という公費で維持されている。それ以外が、報道、観光、個人所有などの目的で維持されている私有のヘリコプター。アメリカでは、ヘリコプターの離着陸に対する規制がゆるく、乾燥した気候の場所では維持費も安くつくので、私有ヘリコプターの割合はずっと多いが、基本的にはお金がかかるもの。

さらに飛ばすことも難しい。固定翼機と比べてどちらが難しいかは、簡単にはいえないが、計器の読み方は別としても、バランスをとることがむずかしく、安全に飛ばせるためには、小型の固定翼機よりも、時間がかかりそう。

人員や貨物の輸送以外の、撮影や偵察用途に使われているヘリコプターは、今後は無人機で代替されるだろうから、ヘリコプターの用途はさらに狭くなる。いろいろと困難が多い乗り物。