禅 心をかたちに

臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展「禅―心をかたちに―」



これは行ってよかった展覧会。タイトルどおり、臨済1150年、白隠250年遠忌ということで、臨済黄檗宗の各派が持っている寺宝を全部出してきたというもの。

最初に置かれていたのが、雪舟「慧可断臂図」。これが一番はじめに置かれているのだから、出し惜しみはないということ。平成館の最初の部屋が、祖師の頂相、墨跡、木像、語録、文書類。これが非常に多く、絵、像くらいはいいとして、墨跡や語録などは、漢文が読めなければわからない。部分的に説明があるところはなんとかなるという程度。しかし、これだけ集中して持ってきたということは簡単にはないだろう。

無準師範像は、見たことがなかったが、すごいもの。無準の人格が滲み出てくるようなもの。あとは、蘭渓道隆坐像。これはもとは漆塗りだったものが、漆は後世に塗られたものとわかって、後で漆だけ剥がされて木像になったというもの。漆が塗ってあった時期の写真もあるが、ぜんぜん印象が違う。漆を塗っていない現在の方が、顔形、細かい部分がよくわかるもの。

第二の部屋は、戦国武将との関係、仏像、絵画や茶道具などの宝物類。これもたいへんな数で、全部で250点以上あった。しかも教科書に載るようなレベルのものがばんばん出てきていて、最後のほうは集中が続かず、スタミナ切れ。きちんと見ようとすれば少なくとも2回は来なければならないもの。自分は茶道具はよくわからないが、大名物と言われているものをこれだけ揃えるのも簡単なことではない。

これは結局図録は買わずに帰ったが、買った方がよかったかもしれない。この図録自体が、臨済各派の宝物図鑑になっているもの。巡回しないのかと思ったら、京都展はもうすでに終了。まあしかたない。もう一度見られないものか。ちょっと考える。