徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす

日本財団 子どもの貧困対策チーム『徹底調査 子どもの貧困が日本を滅ぼす』文春新書、2016


子どもの貧困問題についての本。この本のセールスポイントは、具体的に子どもの貧困が最終的に社会的コストになっていることを、数字で出してきているところ。副題は「社会的損失40兆円の衝撃」となっていて、それはどうなのかと思うが、計算のやり方ではそういう数字も出るということ。

数字部分は、図表が豊富でわかりやすく、著者の政策提言に同意できなくても、子どもの貧困がどの程度のレベルで存在するのかという問題を可視化することに役立っている。

また、「貧困の連鎖」の原因について、「社会的相続」「非認知能力」という概念を使ってわかりやすく説明している。この章はおもしろかった。

貧困対策のような長期的に効果を見なければいけない問題をどのように見るのかということについても、わかりやすく説明する工夫があった。これもメリット。

この問題を概観することと、インタビューを使ってインパクトを持たせること、政策提言と、内容が豊富な本で、読みやすく、ためになった。