NHK

松田浩NHK 新版ー危機に立つ公共放送』岩波新書、2015


著者は1929年生まれ。元日経新聞記者。立命館大学教授、関東学院大学教授を経て、現在メディア総合研究所研究員。

NHKや放送について何冊も著書があり、岩波新書からも『NHKー問われる公共放送』を出している人。しかし、岩波新書はただの左巻き本だったので、これはどうかなとおもったら、やっぱりそうだった。

NHKと政治、特に自民党との関係についてのまとめ部分は、おおよそのことが簡潔にまとまっていて助かった。しかし「ETV番組改編事件」からは、著者の政治的立場が露骨に出た記述になっていて、これを簡単に信じていいのかどうかはわからない。

また、著者のいう「NHKに対する監視と激励の参加型運動」は、単なる左翼からのNHKに対する圧力にしか見えないし、著者のいう「公共性」の内容も不明。国から独立した委員会にNHKを仕切らせよというのだが、その委員会の委員を政府か国会が決めるのであれば、今の経営委員会制度と大して変わらないものになるのでは?

著者は「BBCを見習え」というが、BBCNHKの違いについての分析がない。原因は「NHK職員の不甲斐なさ」に帰せられているのだが、そんなお手軽な話でいいのか?

左翼もこんなことしか言えないようでは、NHK改革などいつまでたっても無理だろう。ぬるすぎる。