悩める日本共産党員のための人生相談

筆坂秀世『悩める日本共産党員のための人生相談』新潮社、2008


共産党員(末端)の党活動がわかる、非常に興味深い本。

基本的に重要なことは「しんぶん赤旗」の新規開拓、配達、集金。しかしこれがきつい。いまどき普通の新聞でも売れていないのに、「しんぶん赤旗」が売れるわけがない。これで部数を拡大しろというノルマが党員に降りてくるが、当然達成できない。また、新規で取ってくれた人も2ヶ月や3ヶ月でやめてしまう。

さらに、配達と集金も大変な仕事。「しんぶん赤旗」は(特に日曜版ではない、日刊紙は)部数が少ないわりに、配達先が分散されているので、配るのがたいへん。この本では、「契約しているのに配達されない」という苦情がきているのだが、それでは部数が伸びないのも当然。

そしてさらに大変なのは、財政問題。選挙のたびにカンパを求められ、地区によってはその額が10万円にもなる。そんなことが長く続けられるわけはない。さらに地区の専従活動家は、給与の遅配、欠配が当然のようにあり、退職金が出るのは中央の活動家だけ。

共産党は他の党と違い、議員がえらいわけではなく、議員候補者を選んでいる党組織がえらい。従って、地方議員や国会議員になっても、党内の地位が低ければえらくない。そのため、議員でも党活動家に頭が上がらず、批判ばかり受けるとか、「妻が党活動をやらないのはけしからん」と言われるとか、苦労が多い。しかも仕事は多いので、議員であることが嫌になる人もいる。

共産党は下が上に文句をつけることはできないので、党中央、幹部に対する末端党員の不満が鬱積している。先週の週刊新潮で、「しんぶん赤旗」の部数が、平均20万部だったものが3万5,000部減、100万部とされる日曜版は7,000部減になったと出ていた。これは党員が共産党に愛想を尽かしているということ。野党共闘共産党員には評判は悪かった。しかも党員は老人ばかりで、党員に若者が入らない。共産党もかなり追い詰められている。