ドナルド・トランプ

佐藤伸行『ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢』文春新書、2016


トランプ本をとりあえず一冊と思って、読んでみた。著者は元時事通信記者。現追手門学院大教授。

最初は、「レーガンも昔はトランプみたいなキワモノ扱いされていた」という話から始まるのだが、もちろんレーガンもトランプも同じというような話をしているわけではない。

あとの部分は、基本はトランプの親の世代からの伝記。ドイツからの移民だった父、両親とのややこしい関係(マザコン)。何もしていない学生生活、トロフィーワイフとの結婚、不動産ビジネス、政治家、トランプをビッグにした社会環境、宗教問題、福音派外交政策といったもの。

だいたいトランプの知らなければいけないところはフォローしていて、かんたんに読め、便利な本。

それにしてもトランプは恐ろしい。そして、トランプをここまでにしたのは、現代アメリカ社会の分裂状態。トランプはコケても、第2、第3のトランプは必ず出る。トランプの戦略はアメリカでは(たぶん他の国でも)当たりということ。どうにもならないわ。