アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
一番の売り物は、ティツィアーノの「受胎告知」。これはでかい。そして、ポイントは、受胎告知の直前、天使がマリアの前に現れた、その瞬間を絵にしたもの。マリアはこの時点で、何も告げられておらず、天使が目の前に現れたことの驚きしかない。こういうのはめずらしいので、この一点で、来る価値はあった。
正直、「受胎告知」以外は大作絵画は少なく、ちょっと物足りないところもあった。しかし、この展覧会の見ものは、肖像画。これは最後の部屋に集中しておいてあったが、非常に質の高いものばかり。統領(ヴェネツィアのトップ)、サン・マルコ財務官(ヴェネツィアのナンバー2)の絵が多く、やはり政治家の注文は多かった。ほかは貴婦人やそれほど高位ではないらしい男性や、いろいろあったが、こっちのほうがよくできている。
この展覧会、国立新美術館の2階だったが、1階が「ダリ展」で非常に混んでいたのに、こちらはガラガラ。まあたしかに「ダリ展」おもしろかったから、わかるけど、こっちも佳作ぞろいだったのだし、もっとお客が来てもよかったのに。おかげで、こちらはすいているところを思う存分見られてよかったけど。