日本に自衛隊が必要な理由

北沢俊美『日本に自衛隊が必要な理由』角川ワンテーマ21、2014


防衛大臣北澤俊美回顧録。この人は、在任中ずっと日記をつけていた。その日記を下にして書かれたのがこの本。

東日本大震災のときの自衛隊の活動から始まって、原発事故への対処、日米安保、中国や北朝鮮への対応、憲法問題など、現在の自衛隊が抱えている問題を、大臣として防衛省の最高責任者だった立場から振り返っている。だから、すべての問題について、具体的なエピソードが挙げられていて、非常に説得力がある。

著者はそれまで防衛に関する経験があまりなかったのに、いろいろな問題に対して、まともな判断ができている。これは非常に稀有なこと。この人でなければできないことで、実際に民主党政権防衛大臣は、森本氏以外は全然駄目だった。ちゃんと人の話を聞いているし、総理大臣に従うことができており、他の大臣ともきちんと協力して物事を進めることができている。民主党政権はだめなところもあったが、鳩山政権の下で、なんとかなったのは、この人と岡田外務大臣のおかげだろう。

難があるとすれば、基本的には自衛隊と自分に対して、何が根本的な問題だったかと言う記述にはなっていないこと。やめてから時間が経ってはいないのだし、仮にも大臣を務めた人がかけること書けないことがあるので、それは仕方がないかもしれない。機密に及ばない範囲で、もうちょっと詳しく書いてもらうとありがたかった。