原発敗戦

船橋洋一原発敗戦 危機のリーダーシップとは』文春新書、2014


今頃読んだが、本当は出た時に読んでいなければならなかった本。とはいえ、未だに『カウントダウン・メルトダウン』も読んでいないのだ。これは取材を重ねて書かれた、その続編。

第一部は、書き下ろし。原発事故と太平洋戦争の敗戦を重ねて、日本の組織にどういう問題があったのかを整理しなおしたもの。太平洋戦争のまともな反省などろくに行われておらず、『戦史に学ぶ』ことはできていないというおはなし。

ここの記述は民間事故調報告書や、『カウントダウン・メルトダウン』を書いた著者だから書けるもの。このくらい調査とインタビューを積み重ねていないと書けない。これは新書用に圧縮されているので、詳しくは前著を見ないといけないが、元がしっかり書かれてあるから圧縮できる。安易にものは言えない。

第二部は、『文藝春秋』に掲載されたインタビューを再録したもの。相手は、アメリカの原発専門家チャールズ・カストー、福島第二原発所長の増田尚宏、統幕長の折木良一、元一橋大学野中郁次郎半藤一利の5人。このインタビューも、かなり相手にしゃべらせていて、それは著者自身が材料を持っているから。浅い取材で相手にちゃんと話をさせることはできず、自分自身が材料をもっていないとダメ。それができているから話が盛り上がるし、相手が本当に考えていることを話してもらえる。

とにかくさっさと、『カウントダウン・メルトダウン』は読まないといけない。時間があったら、民間事故調、国会事故調、政府事故調の報告書も読みたいが、できるかできないか。