私たち、日本共産党の味方です

筆坂秀世鈴木邦男『私たち、日本共産党の味方です』情報センター出版局、2007


共産党筆坂秀世と、一水会顧問の鈴木邦男の対談。共産党の情報本としてはおもしろいのでアリ。2007年の本なので、最近の(2015年以後の)共産党の話はないのだが、共産党が変わるギリギリのところに来ていて、変わりきれずに苦しんでいた様子がよくわかる。

鈴木邦男は話の引き出し役で、それ以上の役割はない。いい人だと思うが、こんな人が政治運動をやっていては、権力は取れないわ。

共産党が変われない理由は、「共産主義の正しさ」を捨てられない政党だから。しかし、「共産主義の正しさ」というものも、少しずつ内容は変わっている。天皇制も、「君主制ではない」という理由でいいことになってしまい、自衛隊も、「国民の合意ができるまでは残す」ということになってしまった。今にしてみれば悪あがきとしか思えない論法だが、共産党としては、昔言っていたことと、現状の間で整合性を取らなければならず、なんとかムリに理屈をひねり出している。

共産党の強みは、やはり地区レベル以下の党組織とその地道な活動。そこが酷使されて疲弊していることがいまの共産党の一番の問題。この本が出てから、もう9年たっているので、いまはもっとひどいだろう。共産党がSEADsとか、安保法制反対に飛びつくのはあたりまえ。それが巻き返しの最後の機会かもしれないから。

結局、共産党は今では「左翼ナショナリスト」の党。共産主義は、もうほとんど消えかかっている。といっても不破哲三がいる限りは共産党の旗は下ろせないだろうが。あと、日米安保破棄とか、自衛隊縮小とか、つまり、反米主義と平和主義で成り立っている政党。与党になろうとすると、そこはある程度捨てなければいけないのだが、それができるかどうか。まあ無理だろうとは思うが。

筆坂秀世の本は、どれを読んでも味わい深い。ちゃんと時期ごとに区切って、読んでいこう。